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タイで経営分析をする上で役立つ3つのポイント


タイの会計業務

タイの経営分析とは


 タイでビジネスをする上で、法律で定められている会計書類の作成を行わなければいけないのは言うまでもありません。一方で、法律で定められていなくとも、ビジネスをより効率的に行うため、『今年の予算は達成できそうか』、『自社は他社に比較して儲かっているのか』、『もっと事業を効率的に行う方法はないのか』といった問いに回答するためのヒントを得るため、経営分析を行うことは非常に重要です。本稿ではタイで経営分析を行う場合に知っておくと役に立つ3つのポイントについて解説します。


タイで経営分析をする上で役立つ3つのポイント

① 一般的にタイの会計スタッフは経営分析をしてくれない


 通常、タイの会計スタッフの職能になっているのは法律で定められている会計書類の作成であり、経営分析は含まれていません。このため、同じようなお金に関する業務なんだから、経営分析についてもしてくれないのか、と考えると、あまりうまく行かないことが多い印象です。


 例えば『過去半年の数値を踏まえて、今年一年の結果見込を作ってみてくれないか』『同業他社のXX社と比較して、自社の財務情報にはどういう特徴があるか教えてほしい』『財務情報を踏まえて、どういう改善策があり得るか教えてほしい』と言った問いに回答できる会計スタッフがいるとすれば、その方は非常に優秀な方だと思います。


② タイで登記されている会社の財務情報は無料で取得できる


 タイでは非上場会社であっても会社の登記情報がデータベースから無料で取得できます(※1)。取得できる情報は、資本金・取締役の名前・登記上の住所といった基本情報に加え、ここ数年の簡略版財務諸表情報も含まれます。


 このため、例えば同業他社について『どれくらい儲かっているのか』、『どれくらいのペースで成長しているのか』といった情報は直ぐに手に入るということになります。こういった情報は経営分析を行う上で、独りよがりな分析を行ってしまい、現実離れした目標を立ててしまうことを防ぐ意味でも非常に有用です。


③ もっと知りたければ、有料で手に入る財務情報もたくさんある


 無料で入手できる財務諸表は簡略版ですが、より詳細な財務諸表を入手したい、であったり、株主構成についても知りたい、ということであれば、これも安価に入手可能です(※2)。このため、『他社に比べて自社の財務情報・株主構成はどういった特徴があるのか』といった詳細な分析も実施が可能ということです。


 また、業界全体の財務情報を俯瞰的に取得したい、ということであれば、統合的なデータベースも存在します(※3)。このため、『弊社は業界で第何位くらいなのか』『業界で何位になるには、どの程度の売り上げが必要なのか』といった分析も可能になります。


どうすればよいのか?


 上記から示唆されることは、タイでは経営分析を行うための会社財務情報へのアクセスは比較的容易である一方で、経営分析を行うことの人材を自社で確保するのは簡単ではない可能性がある、ということです。このため、経営分析については、まずは経営層が自分自身で主導して行うという心構えで臨む必要があるでしょう。


 一方、分析の方向性が合っているかを確認したい、であったり、必要な情報が足りない、といった場合に、外部の専門家の意見を聞く、というのも手かもしれません。本稿が皆様がタイでビジネスをする上での一助となれば幸いです。



【免責事項】

本稿は、一般的な事項についての情報提供を目的として作成されたものであり、実際の遂行にあたっては、多くの場合関連法規の検討、並びに専門家との協同が必要になります。このため、執筆者並びにその所属先は、本稿の利用に起因する如何なる直接的・間接的な損害に対しても一切の責任を負いかねます。また、本稿記載の情報は作成時点における調査に基づいたものであり、随時更新される可能性がありますことをご了承ください。


 

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